金・銀・プラチナ
マーケットレポート

金は米FRB議長の景気低迷見通しが支援

2020/5/18
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は米中関係の悪化も支援要因

5月11日の週のニューヨーク金市場は、新型コロナウイルス感染の第2波に対する警戒感が出るなか、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が景気低迷見通しを示したことを受けて堅調となった。また米大統領の発言を受けて米中関係の悪化に対する懸念も出ており、期近6月限は4月23日以来の高値1,761.2ドルを付けた。米FRB議長は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、米経済は「長期」にわたり成長が低迷し、所得も停滞する恐れがあるとした。ゼロ金利については「検討していない」と述べ、導入に否定的な考えを示した。フェデラルファンド(FF)金利先物がマイナス金利の可能性を織り込み、米大統領はマイナス金利という「贈り物」を受け取るべきだと投稿していた。米経済指標は、4月の米消費者物価指数(CPI)が前月比0.8%下落と、2008年12月の金融危機以来の大幅な落ち込みとなった。また米小売売上高は前月比16.4%減となった。米鉱工業生産統計は製造業生産指数が13.7%低下し、過去最大の落ち込みと景気低迷を裏付ける内容となった。各州でロックダウン(都市封鎖)が緩和されているが、米国の失業率は20%を超えたとの見方もあり、回復するには時間がかかるとみられている。ニューヨーク州では一部地域で15日、建設業などの経済活動が再開されたが、半数の地域は再開基準を満たしておらず、外出規制と事業閉鎖を28日まで延長した。
各国でロックダウン(都市封鎖)が緩和されたが、ドイツや韓国、イラン、シンガポール、中国で新型コロナウイルスの感染者が増加し、第2波に対する警戒感が出た。ドイツではウイルスが1人の感染者から平均何人に感染するかを示す数値である「実効再生産数」が節目の1を上回ったことが注目された。また米国立アレルギー・感染症研究所のファウチ所長は上院委員会の公聴会で議会証言し、ロックダウン措置の解除を急げば、新型コロナ感染の第2波を招くリスクがあると述べた。4月の中国の鉱工業生産が前年同月比3.9%増加し、経済活動再開に対する期待感が強いが、ソーシャルディスタンス(社会的距離)などの措置で第2波を抑え込めるかどうかも確認したい。
トランプ米大統領は14日、新型コロナウイルスを巡る中国の対応に非常に失望したと述べた。また現時点で習近平国家主席との対話は望んでいないとし、中国との断交の可能性についても示唆した。米中が閣僚級の電話会議を行い、通商合意実行に向けて協力することで一致したと伝えられたが、中国共産党系メディアの環球時報が通商合意について、交渉担当者らから見直しを求める声が上がっていると報じた。環球時報の米国を批判する社説が続いており、米中関係の行方も当面の焦点である。
5月15日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比32.13トン増の1,113.78トンとなった。新型コロナウイルス感染の第2波に対する警戒感や、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の景気低迷見通しを受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月12日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは24万2,828枚となり、前週の25万0,004枚から縮小した。今回は新規買いが2,200枚、新規売りが9,376枚出て7,176枚買い越し幅を縮小した。

プラチナは自動車販売の回復見通しなどが支援

ニューヨーク・プラチナ期近7月限は新型コロナウイルス感染の第2波に対する警戒感に上値を抑えられたが、金堅調が下支えとなった。中国の鉱工業生産の増加も支援要因となって地合いを引き締めると、4月30日以来の高値822.4ドルを付けた。一方、中国汽車工業協会(CAAM)によると、4月の自動車販売台数は前年同月比4.4%増の207万台となり、約2年ぶりに増加した。またトヨタは4~10月の北米での生産を80万台程度と見込んでいると伝えられた。前年同期比29%減になるが、操業が再開され、数字が示されたことで今後の回復期待が高まりそうだ。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、12日のロンドンで15.57トン(前週末15.85トン)、15日のニューヨークで23.67トン(同23.82トン)、南アで21.80トン(同22.56トン)となった。新型コロナウイルス感染の第2波に対する警戒感から投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月12日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万8,155枚となり、前週の1万8,246枚から縮小した。手じまい売りが買い戻しを上回った。

ニューヨーク金はレンジ内で地合いを引き締める

ニューヨーク金6月限は新型コロナウイルス感染の第2波に対する警戒感や、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の景気低迷見通しなどを受けて堅調となり、4月23日以来の高値1,761.2ドルを付けた。米小売売上高や米鉱工業生産が大幅に悪化し、金ETF(上場投信)への投資資金流入が続いており、引き続き買われると、4月の戻り高値1,788.8ドルを突破する可能性が出てくる。米中関係の悪化に対する懸念も支援要因であり、今後の行方を確認したい。

5月18日からの週の注目ポイント

18日 カナダ休場
国内総生産(1-3月期1次速報) ☆☆☆
19日 英雇用統計(4月) ☆☆
独ZEW景況感指数(5月) ☆☆
米住宅着工・許可件数(4月) ☆☆
20日 機械受注(3月) ☆☆
英消費者物価指数(4月) ☆☆
ユーロ圏消費者物価指数(4月確報) ☆☆☆
米FOMC議事録 ☆☆☆
21日 フランス・スイス休場
貿易収支(4月速報) ☆☆
米新規失業保険申請件数 ☆☆
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(5月) ☆☆
米中古住宅販売統計(4月) ☆☆
22日 消費者物価指数(4月) ☆☆☆
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(5月速報) ☆☆
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(5月速報) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

参照:SBI証券 > マーケットデータより

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