金・銀・プラチナ
マーケットレポート

金は米FOMC後のドル相場を確認

2020/9/14
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金はドル高が上値を抑える要因

9月7日の週のニューヨーク金市場は、欧州中央銀行(ECB)理事会後のドル安が支援要因となった。その後は米上院で追加経済対策の協議が難航したが、ドルが買い戻されて上げ一服となった。期近12月限は2日以来の高値1,975.2ドルを付けたのち、上げ一服となった。ECB理事会を控えてユーロ高に対する懸念が示されるとの見方が出ていたが、ECB当局者が域内の景気回復見通しに自信を深めたと伝えられたことをきっかけにユーロ高に振れた。ECB理事会では主要な政策変更が見送られ、ユーロ高が容認された。ラガルドECB総裁は、景気回復を巡ってやや前向きな見方を示した。またユーロのレートは物価への影響に鑑み監視する必要があると述べたが、差し迫った政策調整の必要性は示唆しなかった。ただレーンECB専務理事が域内の物価動向に十分な勢いが見られず、引き続き「相当な金融緩和」が必要になるという見方を示しており、ユーロの上値を抑える要因である。一方、米上院は、共和党が提出した3,000億ドル規模の新型コロナウイルスの追加経済対策法案について、採決に向けた動議を否決した。景気の先行き懸念で株安となったが、リスク回避でドルが買い戻された。米議会での追加経済対策の協議の行方も確認したい。
米新規失業保険申請件数は88万4,000件と、前週から横ばいとなった。事前予想の84万6,000件を上回り、労働市場の先行きに対する懸念が出ている。8月の米消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%上昇と、事前予想の0.3%上昇を上回った。中古車・トラック価格が急伸した。前年同月比では1.3%上昇した。CPIが事前予想を上回ったが、米連邦準備理事会(FRB)はインフレを容認する方針を示しており、当面は新戦略の行方が焦点である。インフレを警戒するのは前年比で2.0%を超えてからになろう。今週は15~16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)がある。ただ新たな措置は11月の米大統領選後になるとみられており、今回は新戦略の協議にとどまるとみられている。
トランプ米大統領は、米国と中国との経済関係を制限する意向だと述べた。11月の米大統領選を控えて民主党のバイデン元副大統領との違いを示した。中国に対する強硬姿勢が続くことは景気の先行き不透明感につながる。ただ世論調査ではバイデン元副大統領が優勢であり、今後の行方を確認したい。また米政権は中国当局がイスラム教徒のウイグル族を抑圧しているとして、中国の新疆ウイグル自治区の企業3社からの製品輸入禁止を発表した。米中関係の行方も確認したい。
9月11日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比2.04トン減の1,248.00トンとなった。ドルが買い戻されたことを受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月8日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは23万6,473枚となり、前週の23万0,796枚から拡大した。今回は新規買いが7,055枚、新規売りが1,378枚入り、5,677枚買い越し幅を拡大した。

プラチナは900ドル割れの安値を買い拾われる

ニューヨーク・プラチナ期近10月限は7月21日以来の安値882.6ドルで下げ止まった。ドル高が圧迫要因になったが、900ドル割れの安値は買い拾われた。欧州中央銀行(ECB)理事会後のユーロ高も支援要因となって949.4ドルまで戻した。ただ新型コロナウイルスの感染拡大で景気の先行き懸念が残っており、実需筋が高値での買いを見送ると、上値は限られるとみられる。一方、プラチナの独自材料では供給不足見通しが中長期の支援要因である。ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の四半期報告によると、2020年の需給見通しは当初の8トン供給過剰から10トン供給不足に修正された。需要が11%減の231トン、供給が14%減の221トンと予想された。需給が縮小するなか、投資需要が19トン(前年9トン)に増加し、供給不足が見込まれている。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、7日のロンドンで18.84トン(前週末18.84トン)、11日のニューヨークで37.48トン(同37.50トン)、10日の南アで19.30トン(同19.30トン)となった。今後の投資資金の動向を確認したい。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月8日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万5,271枚となり、前週の1万9,455枚から縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。

ニューヨーク金はレンジ相場

ニューヨーク金12月限は2日以来の高値1,975.2ドルを付けたのち、ドルが買い戻されたことを受けて上げ一服となった。欧州中央銀行(ECB)理事会でユーロ高が容認され、ドル安となったが、米上院で追加経済対策の協議が難航すると、ドルが買い戻された。1,911.7~1,975.2ドルのレンジを形成しており、テクニカル面ではどちらに放れるかが焦点である。今週は15~16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)がある。米連邦準備理事会(FRB)のインフレ容認でドル安見通しだが、新たな措置は11月の米大統領選後との見方もあり、金融政策の見通しを確認したい。

9月14日からの週の注目ポイント

14日 鉱工業生産指数(7月確報)
ユーロ圏鉱工業生産(7月) ☆☆
15日 中国小売売上高(8月) ☆☆
中国鉱工業生産(8月) ☆☆
独ZEW景況感指数(9月) ☆☆
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(9月) ☆☆
米輸出入物価指数(8月)
米鉱工業生産・設備稼働率(8月) ☆☆
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目 ☆☆
16日 貿易収支(8月速報) ☆☆
日銀金融政策決定会合1日目 ☆☆
英消費者物価指数(8月) ☆☆
ユーロ圏貿易収支(7月)
米小売売上高(8月) ☆☆☆
米企業在庫(7月)
対米証券投資(7月) ☆☆
米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利発表 ☆☆☆
17日 日銀金融政策決定会合、政策金利発表 ☆☆☆
ユーロ圏消費者物価指数(8月確報) ☆☆☆
英中銀政策金利発表 ☆☆☆
米住宅着工・許可件数(8月) ☆☆
米新規失業保険申請件数 ☆☆
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(9月) ☆☆
18日 消費者物価指数(8月) ☆☆☆
ユーロ圏国際収支(7月)
米経常収支(4-6月期) ☆☆
米ミシガン大消費者信頼感指数(9月速報値) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

参照:SBI証券 > マーケットデータより

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