金・銀・プラチナ
マーケットレポート

金はリスク回避が圧迫も下値は限られる

2020/10/19
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は米大統領選に向けた動きを確認

10月12日の週のニューヨーク金市場は米国の追加経済対策の合意期待が支援要因になったが、リスク回避の動きに転じると、戻りを売られて上げ一服となった。期近12月限は9月21日以来の高値1,939.4ドルを付けたのち、上げ一服となった。米国の追加経済対策の協議難航や新型コロナウイルスの感染再拡大、ワクチン開発の中断などを受けてリスク回避の動きに転じた。ただ米大統領選の世論調査では、バイデン元副大統領が優勢とみられており、市場ではバイデン勝利なら民主党が大規模な景気刺激策を策定するとの期待感が出ている。株安が一服すると、金は1,900ドル割れの押し目を買い拾われた。今週は22日にテネシー州ナッシュビルで開催される米大統領選候補者討論会を確認したい。

トランプ米大統領は追加経済対策の規模について、ムニューシン米財務長官に1兆8,000億ドルの提案を引き上げる意向を示した。ただ与党共和党上院トップのマコネル院内総務は大統領の提案を一蹴した。ペロシ米下院議長は、ホワイトハウスとの協議の期限を20日に設定しており、米大統領選前に協議がまとまるかどうかを確認したい。

欧州の新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて規制を強化する国が相次いだ。フランスはパリなど9都市に対して夜間外出禁止令を出した。英国は首都ロンドンの警戒度を今週末からレベル2に引き上げ、規制を強化した。スペインやイタリア、ポーランドでも制限措置が強化された。また米中西部で新型コロナウイルスが猛威を奮い、14日時点の新規感染者数は2万2,000人を超え、過去最高を記録した。北半球の冬季でインフルエンザなどの感染症が流行しやすく、今後の感染再拡大の行方を確認したい。米新規失業保険申請件数は89万8,000件と、前週の84万5,000件から予想外に増加した。事前予想は82万5,000件だった。景気回復の鈍化が示されると、米国債の利回りが低下し、金の支援要因になる可能性が出てくる。ただ9月の米小売売上高は前月比1.9%増と、事前予想の0.7%増を上回っており、今後の経済指標を確認したい。

新型コロナウイルスのワクチン開発について、米製薬ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、被験者の病気発症を受け、臨床試験を中断すると発表した。米イーライ・リリーも、抗体医薬品について、安全性を巡る懸念から治験を一時中断したと明らかにした。一方、米ファイザーは16日、ドイツのバイオ医薬品ビオンテックと共同で開発しているワクチンについて、11月下旬に米当局に緊急使用許可(EUA)を申請する公算が大きいとした。ワクチン開発の行方も当面の焦点である。

10月16日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比1.04トン増の1,272.56トンとなった。米国の追加経済対策の合意期待を受けて1,277.94トンまで増加したが、協議難航などでリスク回避の動きに転じると、一部で手じまい売りが出た。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月13日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは24万0,671枚となり、前週の24万8,587枚から縮小した。今回は新規買いが6,064枚、新規売りが1万3,980枚入り、7,916枚買い越し幅を縮小した。

プラチナはリスク選好や金堅調が支援

ニューヨーク・プラチナ1月限は、リスク回避の動きや新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて軟調となり、9月25日以来の安値841.7ドルを付けた。ただ9月の中国の自動車販売台数は前年同月比12.8%増の257万台となり、6カ月連続で増加した。中国勢の安値拾いの買いも入っており、引き続き買われると、下支え要因になるとみられる。当面は米国の追加経済対策の協議の行方も確認したい。

プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、15日のロンドンで19.06トン(前週末18.73トン)、16日のニューヨークで38.77トン(同38.77トン)、15日の南アで17.90トン(同18.05トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月13日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは8,911枚となり、前週の8,595枚から拡大した。買い戻しが手じまい売りを上回った。

ニューヨーク金はリスク回避で戻りを売られる

ニューヨーク金12月限は9月21日以来の高値1,939.4ドルを付けたのち、リスク回避の動きを受けて戻りを売られて上げ一服となった。米国の追加経済対策の協議難航や新型コロナウイルスの感染再拡大、ワクチン開発の中断などを受けてリスク回避の動きに転じた。ただ大規模な景気刺激策に対する期待感から1,900ドル割れの押し目は買い拾われた。新たなレンジを形成しており、米大統領選に向けた動きなどを確認したい。

19日 貿易収支(9月速報) ☆☆
中国国内総生産(7-9月期) ☆☆☆
中国小売売上高(9月) ☆☆
中国鉱工業生産(9月) ☆☆
20日 ユーロ圏国際収支(8月)
米住宅着工・許可件数(9月) ☆☆
21日 英消費者物価指数(9月) ☆☆
米地区連銀経済報告(ベージュブック) ☆☆
22日 米新規失業保険申請件数 ☆☆
米中古住宅販売統計(9月) ☆☆
23日 消費者物価指数(9月) ☆☆☆
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(10月速報) ☆☆
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(10月速報) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

参照:SBI証券 > マーケットデータより

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