金・銀・プラチナ
マーケットレポート

金は米国債の利回り上昇が上値を抑える要因

2021/3/22
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は仏ロックダウン導入で投資資金の動向も確認

3月15日の週のニューヨーク金市場は米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて買い戻しが入ったことや、米FOMC後のドル安が支援要因となり、中心限月となる4月限は1日以来の高値1,754.2ドルを付けた。米FOMCではフェデラルファンド(FF)金利の目標誘導レンジを0~0.25%に維持することを決定し、緩和的な金融政策の姿勢を維持するとした。早期利上げ観測が後退し、ドル安に振れた。米連邦準備理事会(FRB)は最新の金利・経済見通しで今年の経済成長率は6.5%に達し、失業率は年末までに4.5%に低下するとの見通しを示した。前回見通しでは成長率が4.2%、失業率は5%とされ、楽観的な見通しとなった。米国債の利回り上昇が容認されたことから10年債利回りは一時1.75%まで上昇し、昨年1月以来の高水準となった。米国債の利回り上昇からドル高が再開すると、金の上値を抑える要因になるとみられる。今週は2月の米個人所得・消費支出の発表がある。PCEコア・デフレーターでインフレに対する見方を確認したい。

フランスのカステックス首相は18日、新型コロナウイルスの感染第3波を受け、パリとその近郊を含む16県で1カ月間のロックダウン(都市封鎖)措置を導入すると発表した。新規感染の7日平均が昨年11月20日以来初めて2万5,000件を超えた。景気回復の遅れに対する懸念から原油が急落し、リスク回避の動きが出ており、今後の変異株の感染拡大の行方と金ETF(上場投信)の投資資金の動向を確認したい。一方、欧州連合(EU)主要国は英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスのワクチン使用を中断した。接種後に深刻な血栓が生じる事例が複数報告された。欧州医薬品庁(EMA)が調査を行った結果、引き続き利点がリスクを上回るという「明確な」結論に至ったとし、ドイツ、フランス、イタリアなどが同ワクチンの接種再開を決定した。ワクチン接種の行方も焦点である。

日銀金融政策決定会合で、ゼロ%を中心に上下0.2%程度としている長期金利の変動を認める幅を0.25%程度に拡大することが決定された。低金利環境を維持しつつ、市場機能も働きやすくし、金融機関の収益改善につなげるという。黒田日銀総裁は、「金利の変動は一定の範囲内であれば金融緩和の効果を損なわず、市場の機能度にプラスに作用すると点検で確認した」とし、「変動幅を拡大したものではない」と述べた。また上場投資信託(ETF)の買い入れは年6兆円とする目安をなくし、市場の混乱時にのみ購入する姿勢を明確にした。

3月19日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比0.29トン減の1,051.78トンとなった。米国債の利回り上昇を受けて投資資金が流出したが、米連邦公開市場委員会(FOMC)後に買いが入った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月16日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは18万0,196枚となり、前週の17万5,163枚から拡大した。今回は新規買いが1,398枚、買い戻しが3,635枚入り、5,033枚買い越し幅を拡大した。

プラチナはロシアの生産減少見通しなどが支援

ニューヨーク・プラチナ4月限は金堅調やロシアの生産減少見通しを受けて2月25日以来の高値1,240.4ドルを付けたのち、株高一服や米国債の利回り上昇を受けて上げ一服となった。ロシアの鉱山会社ノリニッケルは今年のニッケル、銅、プラチナ、パラジウムの生産量が当初の目標から15~20%減少するとした。シベリアの2つの鉱山が浸水し、閉鎖された。大幅な供給不足見通しとなっているパラジウムが急騰した。一方、フランスが新型コロナウイルスの感染拡大を受けてロックダウン(都市封鎖)の導入を発表し、景気の先行き懸念が残ることは上値を抑える要因である。

プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、18日のロンドンで19.15トン(前週末19.24トン)、ニューヨークで39.99トン(同39.99トン)、南アで16.39トン(同16.36トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月16日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは3万1,443枚買い越し(同2万8,037枚買い越し)に拡大した。

ニューヨーク金は買い戻し主導で戻り歩調

ニューヨーク金4月限は米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて買い戻しが入ったことや、米FOMC後のドル安を受けて堅調となり、1日以来の高値1,754.2ドルを付けた。米FOMCでは低金利継続見通しが示された。ただ米国債の利回り上昇に対する言及はなく、利回り上昇が続いた。ドル高が再開すると、金の上値を抑える要因になるとみられる。一方、フランスは新型コロナウイルスの感染拡大を受けてロックダウン(都市封鎖)の導入を発表した。景気の先行き懸念から金に逃避買いが入るかどうかも焦点である。

3月22日からの週の注目ポイント

22日 南ア休場
23日 米中古住宅販売統計(2月) ☆☆
英雇用統計(2月) ☆☆
米経常収支(10-12月期) ☆☆
米新築住宅販売(2月) ☆☆☆
24日 英消費者物価指数(2月) ☆☆
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(3月速報) ☆☆
米耐久財受注(2月) ☆☆
25日 スイス国立銀行政策金利公表 ☆☆☆
米国内総生産(10-12月期確報値) ☆☆☆
米新規失業保険申請件数 ☆☆
26日 英小売売上高指数(2月) ☆☆
独ifo景況感指数(3月) ☆☆
米個人所得・支出(2月) ☆☆☆
米ミシガン大消費者信頼感指数(3月確報値) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

参照:SBI証券 > マーケットデータより

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