金・銀・プラチナ
マーケットレポート

金は米国債の利回り低下が支援

2021/4/19
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は景気見通しとETFの投資資金を確認

4月12日の週のニューヨーク金市場は、米国債の利回り低下やリスク選好の動きを受けて堅調となった。中心限月となる6月限は2月25日以来の高値1,784.7ドルを付けた。米経済指標が好調な内容となったが、米連邦準備理事会(FRB)の低金利継続見通しを受けてドル安・株高のリスク選好の動きとなった。米国債は米ロ関係の悪化に対する懸念もあり、逃避買いが入ると、テクニカル要因の買いが入って利回りが低下した。米10年債利回りは1.528%まで低下し、1カ月ぶりの低水準となった。今週は22日に欧州中央銀行(ECB)理事会があり、欧州経済の見通しも確認したい。

3月の米消費者物価指数(CPI)は前月比0.6%上昇し、2012年8月以来の大幅な伸びとなった。事前予想の0.5%上昇も上回った。食品・エネルギーを除いたコア指数は0.3%上昇(事前予想0.2%上昇)。ただパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は持続的なインフレとはならないとの見方を示しており、米CPI発表後はドル安に振れた。3月の米小売売上高は同9.8%増と前月からプラスに転じ、昨年5月以来の大幅な伸びとなった。米新規失業保険申請件数は57万6,000件と、前週から大幅に改善し、昨年3月中旬以来の低水準となった。また4月のミシガン大消費者信頼感指数速報値は86.5と前月の84.9から上昇し、1年ぶりの高水準となった。好調な米経済指標を受けてダウ平均株価やS&P500が最高値を更新した。

米政府は15日、ロシアによる昨年の米大統領選への介入やサイバー攻撃など「悪質」な活動に対する報復として、包括的な制裁措置を発動した。ただバイデン米大統領は「さらに制裁を加えることもできたが、そうせず、相応の対応にとどめた」とし、ロシアに緊張緩和を呼び掛けた。ロシア外務省は、米国の制裁が両国関係を危険にさらすものだと反発し、16日に米外交官10人の国外退去を求めると発表した。ロシア軍はウクライナ国境付近で部隊を増強しているが、米国のトッド・ウォルターズ欧州軍司令官は、ロシアが今後数週間にウクライナに侵攻するリスクは「低~中程度」との見方を示した。米ロ関係の行方を確認したい。一方、日米首脳は16日にホワイトハウスで会談し、共同声明で「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調した」、「香港及び新疆ウイグル自治区の人権状況について深刻な懸念を共有」と明記し、中国をけん制した。中国は台湾、香港、新疆ウイグル自治区は国内問題とし、日米首脳の共同声明に断固反対すると表明した。金市場で地政学的リスクが材料視されるかどうかを確認したい。

トルコ中央銀行は15日の金融政策決定会合で、政策金利を19%に据え置くことを決定した。ただ声明で、必要に応じて追加的な引き締めを行うとのタカ派的な文言を削除したことを受けてトルコリラは下落した。エルドアン大統領に指名されたカブジュオール新総裁は、これまで緩和を急がない姿勢を示していた。市場では金融緩和に転じると、通貨危機を招き、トルコの金需要減少につながるとみられていた。

4月16日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比6.41トン減の1,019.66トンとなった。米国の景気回復見通しなどを背景に戻り場面で投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月13日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは18万0,874枚となり、前週の18万9,509枚から縮小した。今回は手じまい売りが6,190枚、新規売りが2,445枚出て8,635枚買い越し幅を縮小した。

ニューヨーク金は米国債の利回り低下でテクニカル改善

ニューヨーク金6月限は米国債の利回り低下を受けて堅調となり、2月25日以来の高値1,784.7ドルを付けた。ダブルボトムを形成したのち、ネックラインとなる3月18日の高値1,756.1ドルを突破し、テクニカル面で強気である。米連邦準備理事会(FRB)の低金利継続見通しを背景としたドル安も支援要因である。ただ米国の景気回復見通しを受けて金ETF(上場投信)から投資資金が流出したことが上値を抑える要因である。当面は1,800ドルの節目を突破できるかどうかが焦点になりそうだ。

ニューヨーク金はテクニカル改善も景気回復見通しが圧迫

ニューヨーク金6月限はダブルボトムを形成したのち、ネックラインとなる3月18日の高値1,756.1ドルを上回り、2月26日以来の高値1,759.4ドルを付けた。米連邦準備理事会(FRB)の低金利継続見通しを背景としたドル安が支援要因になった。ただ米中の生産者物価指数(PPI)の大幅上昇でインフレリスクに対する懸念が出たことが上値を抑える要因になった。今週は3月の米消費者物価指数(CPI)などの発表があり、インフレに対する見方を確認したい。

4月19日からの週の注目ポイント

19日 貿易収支(3月速報) ☆☆
ユーロ圏国際収支(2月)
20日 英雇用統計(3月) ☆☆
独生産者物価指数(3月)
21日 英消費者物価指数(3月) ☆☆
カナダ銀行政策金利発表 ☆☆☆
22日 欧州中央銀行(ECB)政策金利発表 ☆☆☆
米新規失業保険申請件数 ☆☆
米中古住宅販売統計(3月) ☆☆
23日 消費者物価指数(3月) ☆☆☆
英小売売上高指数(3月) ☆☆
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(4月速報) ☆☆
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(4月速報) ☆☆
米新築住宅販売(3月) ☆☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

参照:SBI証券 > マーケットデータより

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