金・銀・プラチナ
マーケットレポート

金はイランの報復攻撃で中東情勢の行方を確認

2024/4/15
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金はインフレ高止まりで原油価格などを確認

 4月8日の週のニューヨーク金市場は、中国勢の買いや欧米の利下げ見通し、中東情勢に対する懸念を受けて上値を試し、中心限月ベースで史上最高値2,448.8ドルを付けた。イランのイスラエルに対する報復攻撃が近いとの見方が金価格を押し上げたが、各国がイランに緊張緩和を求めたことで利食い売りなどが出て上げ一服となった。ただイランは週末に無人機とミサイルでイスラエルを直接攻撃した。イスラエル軍は、イランのドローンとミサイルの99%以上を撃墜し、今後の選択肢を検討している。イランはイスラエルによる強い反応がなければ、一段の攻撃を実行することはないだろうとしており、中東情勢の行方を確認したい。
米消費者物価指数(CPI)でインフレの伸びが加速し、米連邦準備理事会(FRB)の6月利下げ観測が大幅に後退した。3月の米CPIは前年比3.5%上昇と前月の3.2%上昇から伸びが加速し、昨年9月以来の大幅な伸びとなった。事前予想の3.4%上昇も上回った。米生産者物価指数(PPI)は前月比0.2%上昇と前月の0.6%上昇から伸びが鈍化し、事前予想の0.3%上昇も下回った。ただ前年比2.1%上昇と前月の1.6%上昇から伸びが加速した。一方、4月の米ミシガン大消費者信頼感指数速報値は77.9と3月の79.4から低下した。1年先の期待インフレ率は前月の2.9%から3.1%に上昇した。CMEのフェドウォッチで、6月の米FRBの利下げ確率は26.9%(前週50.8%)に低下し、7月か9月に先送りされるとの見通しが強い。今週は3月の米小売売上高などの発表がある。ただインフレが高止まりするなか、中東情勢の緊張が高まっており、原油価格の動向も確認したい。
上海金の出来高が急増し、中国勢のまとまった買いが入った。中国不動産開発会社の世茂集団は債務を巡り、中国建設銀行から清算申し立てを受けたと発表した。香港高裁が1月に中国恒大集団に清算命令を出し、碧桂園は3月に債権者が清算を申し立てた。不動産部門に対する懸念から中国人の金投資が進んでいる。さらに中国が「台湾独立派」と見なす頼清徳副総統の総統就任を5月に控えて台湾海峡を巡る緊張が高まっていることも指摘された。また中国人民銀行は、3月末時点の金保有高が前月から5トン増加し、2,262トンとなったことを明らかにした。17カ月連続で金保有を拡大した。各国の中央銀行の金買いが続いていることも金の支援要因である。
4月12日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比0.31トン増の826.72トンとなった。イランのイスラエル攻撃が近いとの見方が出るなか、830.75トンまで増加したが、利食い売りが出た。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月9日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは20万2,419枚となり、前週の20万7,250枚から縮小した。今回は手じまい売りが1,600枚、新規売りが3,231枚出て4,831枚買い越し幅を縮小した。

プラチナは金急伸で1月2日以来の高値

 ニューヨーク・プラチナ7月限は、地政学的リスクの高まりや金急伸を受けて買い優勢となり、1月2日以来の高値1,020.5ドルを付けた。上海プラチナの出来高が増加し、中国勢の買いが入ったことも支援要因である。ただ米消費者物価指数(CPI)でインフレの伸びが加速し、米連邦準備理事会(FRB)の利下げが先送りされるとの見方からドル高に振れたことが上値を抑える要因である。昨年12月の高値1,036.6ドルが当面の抵抗線であり、ここを突破できるかどうかを確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、11日のロンドンで13.11トン(前週末12.71トン)、12日のニューヨークで31.97トン(同31.54トン)、11日の南アで11.40トン(同11.40トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月9日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万9,007枚となり、前週の8,589枚から拡大した。

ニューヨーク金は最高値更新後に上げ一服

 ニューヨーク金6月限は、中国勢の買いや欧米の利下げ見通し、地政学的リスクの高まりを受けて上値を試し、中心限月ベースでの史上最高値2,448.8ドルを付けたのち、上げ一服となった。ただイランが週末にイスラエルに対する報復攻撃をしており、中東情勢の先行き次第では再び上値を試す可能性がある。一方、3月の米消費者物価指数(CPI)でインフレの伸びが加速し、米連邦準備理事会(FRB)の利下げが先送りされるとの見方が強まった。今週は3月の米小売売上高の発表がある。

4月15日からの週の注目ポイント

15日 機械受注(2月) ☆☆
ユーロ圏鉱工業生産(2月) ☆☆
米小売売上高(3月) ☆☆☆
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(4月) ☆☆
米企業在庫(2月) ☆☆
16日 中国住宅価格指数(3月) ☆☆
中国国内総生産(1-3月期) ☆☆☆
中国小売売上高(3月) ☆☆
中国鉱工業生産(3月) ☆☆
英雇用統計(3月) ☆☆
ユーロ圏貿易収支(2月) ☆☆
独ZEW景況感指数(4月) ☆☆
米住宅着工・許可件数(3月) ☆☆☆
米鉱工業生産・設備稼働率(3月) ☆☆
17日 貿易収支(3月速報) ☆☆
英消費者物価指数(3月) ☆☆
ユーロ圏消費者物価指数(3月確報) ☆☆☆
対米証券投資(2月) ☆☆
18日 ユーロ圏国際収支(2月) ☆☆
米新規失業保険申請件数 ☆☆
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(4月) ☆☆
米中古住宅販売統計(3月) ☆☆
19日 消費者物価指数(3月) ☆☆☆
独生産者物価指数(3月) ☆☆
英小売売上高(3月) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

参照:SBI証券 > マーケットデータより

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