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マーケットレポート

金はイランの衝突回避で米経済指標を確認

2024/4/22
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金はECBの6月利下げの見方によるドル高が圧迫

 4月15日の週のニューヨーク金市場は、イスラエルがイランに対する報復措置の姿勢を示したことを受けて堅調となったが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が利下げ先送りを示唆したことを受けて上げ一服となった。ただ19日にイスラエルのイラン攻撃が伝えられると、押し目を買われ、12日以来の高値2,433.3ドルを付けた。イランのアブドラヒアン外相は、19日に受けた攻撃を調査しているとし、現時点でイスラエルとの関連は証明されていないと述べた。ドローン(無人機)はイラン国内から離陸し、数百メートル飛行した後に撃墜されたと説明した。攻撃は潜入者によるものとし、イスラエルとの衝突を回避した。イスラエルの発表はないが、ラファ侵攻が再開されると、イランとの対立は一服したとみられることになりそうだ。当面はユダヤ教の重要な祝祭「過ぎ越しの祭り」を迎える。
 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、予想を上回るインフレ率を示す一連の経済指標を受け、米FRBがインフレ2%回帰を確信するにはこれまで予想していたよりも長い時間が必要になる可能性が高いとの見解を示した。またニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、利下げを急ぐ必要はないとし、開始時期は経済データに基づいて判断すべきとの考えを示した。3月の米小売売上高は前月比0.7%増となり、オンライン売上高の急増を背景に事前予想の0.3%増を上回った。今週は25日に第1四半期の米国内総生産(GDP)速報値、26日に3月の米個人消費支出(PCE)デフレータの発表がある。米消費者物価指数(CPI)同様、インフレの伸び加速が示されると、利下げ先送りの見方が強まるとみられる。CMEのフェドウォッチで、米FRBの9月の利下げ確率が45.0%(前週44.0%)となり、年1回の利下げの可能性が高まった。
 3月のユーロ圏の消費者物価指数(CPI)確報値は前年比2.4%上昇と速報値から変わらず。前月比も0.8%上昇と変わらず。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、何か衝撃的な展開によってユーロ圏のインフレ鈍化が損なわれない限り、ECBは利下げに近づきつつあるとの見方を示した。ECB理事会メンバーのセンテノ・ポルトガル中銀総裁は、ECBが2回の利下げを行ったとしても、金融政策は制約的な領域にとどまるとの認識を示した。ECBのデギンドス副総裁は、インフレ率の低下傾向が続けば金利引き下げが可能なはずだとあらためて表明した。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ先送りの見方に対し、ECBは6月に利下げ開始する見通しであり、ドル高に振れると、金の圧迫要因になりそうだ。
 4月19日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比5.19トン増の831.91トンとなった。イスラエルのイラン攻撃が伝えられたことを受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月16日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは20万2,419枚となり、前週の20万1,923枚となり、前週の20万2,419枚から縮小した。今回は手じまい売りが1,022枚、買い戻しが526枚入って496枚買い越し幅を縮小した。

プラチナは米FRBの利下げ観測後退が圧迫

 ニューヨーク・プラチナ7月限は、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退を受けて売り優勢となり、8日以来の安値936.5ドルを付けた。イスラエルのイラン攻撃が伝えられたことが下支えになったが、イランは衝突回避の意向であり、米経済指標に市場の関心が移ると、プラチナは軟調に推移することになりそうだ。今週は第1四半期の米国内総生産(GDP)速報値、3月の米個人消費支出(PCE)デフレータの発表がある。
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、18日のロンドンで10.97トン(前週末10.66トン)、19日のニューヨークで32.12トン(同31.97トン)、18日の南アで11.43トン(同11.43トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月16日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万8,241枚となり、前週の1万9,007枚から縮小した。

ニューヨーク金は地政学的リスクで押し目を買われる

 ニューヨーク金6月限は、イスラエルがイランに対する報復措置の姿勢を示したことを受けて堅調となり、19日にイラン攻撃が伝えられると急伸した。ただイランは攻撃は潜入者によるものとし、イスラエルとの衝突を回避する意向を示した。一方、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は利下げ先送りを示唆した。今週は3月の米個人消費支出(PCE)デフレータの発表がある。中心限月ベースでの史上最高値2,448.8ドルを突破できなければ利食い売り主導の調整局面が警戒される。

4月22日からの週の注目ポイント

22日 英住宅価格指数(4月) ☆☆
23日 トルコ休場
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(4月速報) ☆☆
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(4月速報) ☆☆
米新築住宅販売(3月) ☆☆☆
24日 独ifo景況感指数(4月) ☆☆
米耐久財受注(3月速報値) ☆☆
25日 ニュージーランド、オーストラリア休場
日銀金融政策決定会合1日目 ☆☆
米国内総生産(1-3月期速報値) ☆☆☆
米卸売在庫(3月速報値) ☆☆
米新規失業保険申請件数 ☆☆
米中古住宅販売仮契約指数(3月) ☆☆
26日 日銀総裁記者会見 ☆☆☆
米個人所得・支出(3月) ☆☆☆
米ミシガン大消費者信頼感指数(4月確報値) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

参照:SBI証券 > マーケットデータより

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