金・銀・プラチナ
マーケットレポート
金は米FOMCで金融政策の見通しを確認
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金はガザ停戦協議の行方も焦点
4月22日の週のニューヨーク金市場は、イスラエルとイランの衝突回避を受けて調整局面を迎えた。中心限月となる6月限は5日以来の安値2,304.6ドルを付けた。ただイスラエルのラファ侵攻見通しで先行き懸念も残り、安値拾いの買いが入って下げ一服となった。イランが19日の攻撃について、イスラエルの関連を証明できず、報復しない方針を示した。イスラエルとの衝突が回避され、金に利食い売りが出た。一方、イスラエルはイスラム組織ハマスへの攻撃を再開しつつある。ラファ侵攻を控え、民間人避難のためテントを調達した。ただイスラエルは27日に段階的停戦案を提示した。ハマスの代表団が協議のため、エジプトのカイロを訪問しており、米英はハマスに停戦合意を呼び掛けている。ハマスの回答を確認したい。
米議会でウクライナ支援が可決された。バイデン米大統領は24日、ウクライナ向けに610億ドル、イスラエル向けに260億ドル、パレスチナ自治区ガザ向けの人道支援で10億ドル、中国の軍事力に対抗するための80億ドルを含む法案に署名した。米大統領は第1弾としてすでにウクライナへの10億ドルの兵器供給を承認しており、兵器輸送が開始された。ウクライナのゼレンスキー大統領は29日、首都キーウで北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長と会談した。戦況は西側諸国からの武器供給のスピードに左右されるとし、ロシア軍が一部戦線で攻勢を強めるなか、ウクライナへの武器供与加速を訴えた。
第1四半期の米国内総生産(GDP)速報値は前期比1.6%増と前四半期の3.4%増から大幅に鈍化し、ほぼ2ぶりの低水準となった。コア個人消費支出(PCE)指数は3.7%上昇し、前四半期の2.0%上昇から伸びが加速した。3月の米PCE価格指数は前年比2.7%上昇と前月の2.5%上昇や事前予想の2.6%上昇を上回った。CMEのフェドウォッチでは、米連邦準備理事会(FRB)の利下げは9月以降、年1回を織り込んでいる。今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では金利据え置きが見込まれており、当局者の見通しを確認したい。
日銀金融政策決定会合で金融政策の現状維持が決定された。展望リポートで消費者物価指数の見通しが上方修正されたが、金融政策運営について、「当面、緩和的な金融政策を継続すると考えている」とされた。また植田日銀総裁が会見で、円安が基調的な物価上昇率に大きな影響を与えているわけではないと述べると、円安が加速した。週明けに円相場は一時1ドル=160円台と34年ぶりの円安水準となった。ただ午後に入ると、円高に転じ、154円台半ばまで円高に振れた。神田財務官はノーコメントとしたが、市場では介入観測が強い。JPX金先限は1万1,951円まで戻したが、急落しており、介入が続くと、調整局面を継続することになりそうだ。
4月26日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比0.28トン増の832.19トンとなった。イスラエルとイランの衝突が回避され、急落したのち、安値拾いの買いが入った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月23日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは20万2,891枚となり、前週の20万1,923枚から小幅拡大した。今回は新規買いが758枚、買い戻しが210枚入って968枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは900ドル直前で下げ一服
ニューヨーク・プラチナ7月限は、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退を受けて売り優勢となり、1日以来の安値905.5ドルを付けたのち、下げ一服となった。イスラエルとイランの衝突回避による金急落や、米FRBの利下げ観測後退が圧迫要因になった。ただ900ドルの節目に接近し、中国勢のまとまった安値拾いの買いが入ったことに加え、米国内総生産(GDP)の伸びが鈍化し、ドル安に振れると、下げ一服となった。今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では金利据え置きが見込まれており、利下げ先送りの見方が示されるとみられている。買い戻し主導で上昇しても、レンジ上限となる1,000ドル付近で上値を抑えられるとみられる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、24日のロンドンで11.04トン(前週末11.36トン)、26日のニューヨークで32.54トン(同32.12トン)、25日の南アで11.43トン(同11.43トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月23日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは7,464枚となり、前週の1万8,241枚から縮小した。
ニューヨーク金は中東の衝突回避で調整局面
ニューヨーク金6月限は、イスラエルとイランの衝突回避を受けて急落し、5日以来の安値2,304.6ドルを付けた。ただイスラエルのラファ侵攻見通しで先行き懸念が残り、安値拾いの買いが入って下げ一服となった。利食い売り主導で調整局面を迎えた。ただ米連邦準備理事会(FRB)の利下げ先送りの見方が上値を抑える要因である。今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では金利据え置きが見込まれており、当局者の見通しを確認したい。
4月29日からの週の注目ポイント
29日 | 昭和の日 30日失業率(3月) | ☆☆ |
鉱工業生産指数(3月速報) | ☆☆ | |
小売業販売額(3月速報) | ☆☆ | |
中国製造業購買担当者景況指数(4月) | ☆☆ | |
中国非製造業購買担当者景況指数(4月) | ☆☆ | |
中国財新製造業購買担当者景況指数(4月) | ☆☆ | |
ユーロ圏国内総生産(1-3月期速報) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(4月速報) | ☆☆☆ | |
米雇用コスト指数(1-3月期) | ☆☆ | |
米S&Pケース・シラー住宅価格指数(2月) | ☆☆ | |
シカゴ購買部協会景気指数(4月) | ☆☆ | |
米消費者信頼感指数(4月) | ☆☆ | |
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目 | ☆☆ | |
1日 | 中国、香港、独、仏、南ア休場 | ☆ |
ADP全米雇用報告(4月) | ☆☆ | |
米ISM製造業景況指数(4月) | ☆☆☆ | |
米FOMC声明文公表 | ☆☆☆ | |
2日 | 中国休場 | ☆ |
日銀金融政策決定会合議事要旨公表 | ☆☆ | |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(4月確報) | ☆☆ | |
米貿易収支(3月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米耐久財受注(3月確報値) | ☆☆ | |
米製造業新規受注(3月) | ☆☆ | |
3日 | 憲法記念日、中国休場 | ☆ |
ユーロ圏雇用統計(3月) | ☆☆ | |
米雇用統計(4月) | ☆☆☆ | |
米ISM非製造業景況指数(4月) | ☆☆☆ |
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