金・銀・プラチナ
マーケットレポート
金は貿易摩擦の行方を確認
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米雇用統計も焦点
1月27日の週のニューヨーク金市場は、リスク回避の動きを受けて利食い売りが出たが、予想以下の米経済指標や米政権の関税に対する懸念を受けて押し目を買われた。中心限月の4月限は一代高値2,862.9ドルを付けた。トランプ米大統領は、カナダとメキシコからの輸入品に25%、中国からの輸入品に10%の関税を賦課する大統領令に署名した。米大統領はこれまで不法移民や合成麻薬フェンタニルなど薬物の米国への流入阻止で十分な措置を講じていないとして関税賦課を警告していた。カナダのトルドー首相は米国の製品に25%の関税を賦課する方針を発表しており、貿易摩擦に対する懸念が高まるとみられる。メキシコのシェインバウム大統領も経済相に対米報復関税を含む対応計画の開始を指示しており、中国の対応も確認したい。また欧州連合(EU)は4日にワルシャワで開催される通商閣僚会議で関税賦課の可能性を協議する。
米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利を据え置きが決定された。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は会見で、トランプ米大統領の政策がどのような結果をもたらすかを判断するのは時期尚早であり、米FRBの2%のインフレ目標は維持されるだろうと述べた。第4四半期の米国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比2.3%増となった。前四半期の3.1%増から減速し、事前予想の2.6%増を下回った。ただ個人消費は4.2%増(前四半期3.7%増)と、2023年第1四半期以来の高い伸びとなった。12月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.6%上昇し、伸びは前月の2.4%から加速し、事前予想と一致した。個人消費支出は前月比0.7%増。前月分は当初発表の0.4%増から0.6%増に上方改定された。CMEのフェドウォッチで、米FRBの利下げは6月とみられている。今週は1月の米雇用統計の発表がある。
中国の新興AI開発企業ディープシークは、新型AIモデル「R1」を発表した。R1はグーグルやオープンAIの最新モデルに匹敵する性能を持つ一方、旧型の半導体を使って開発しており、開発費用ははるかに安価だったとしている。ナスダックやS&P500が急落し、リスク回避の動きとなった。ただ中国政府へのデータ流出リスクやプライバシー保護の脆弱性に対する懸念から、世界の企業や政府機関の間でディープシークが開発したAIモデルの使用を制限する動きが広がった。一方、オープンR1プロジェクトでディープシークのトレーニングの方法を再現する動きも出ており、欧米のAI業界の行方を確認したい。
1月31日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比4.59トン増の864.77トンとなった。米大統領の関税発言を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月28日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは29万9,409枚となり、前週の30万0,784枚から縮小した。今回は新規買いが1,082枚、新規売りが2,457枚出て、1,375枚買い越し幅を縮小した。
プラチナは金堅調で買い戻される
ニューヨーク・プラチナ4月限はトランプ米大統領の関税発言に上値を抑えられたが、予想以下の米経済指標や金堅調を受けて買い戻し主導で上昇し、昨年10月30日以来の高値1,045.6ドルを付けた。米大統領は、カナダとメキシコからの輸入品に25%、中国からの輸入品に10%の関税を賦課する大統領令に署名しており、貿易摩擦に対する懸念が高まると、上値を抑える要因になるとみられる。今週は中国の春節明けの動きも確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、30日のロンドンで19.29トン(前週末19.36トン)、31日のニューヨークで33.68トン(同33.68トン)、30日の南アで10.89トン(同10.71トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月28日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万3,373枚となり、前週の1万4,608枚から縮小した。
ニューヨーク金は一代高値を更新
ニューヨーク金は予想以下の米経済指標や米政権の関税に対する懸念を受けて買い優勢となった。中心限月の4月限は一代高値2,862.9ドルを付けた。トランプ米大統領は、カナダとメキシコからの輸入品に25%、中国からの輸入品に10%の関税を賦課する大統領令に署名した。貿易摩擦に対する懸念が金の支援要因だが、米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きが決定されており、インフレ高止まりが示されると、利食い売りも出やすい。今週は1月の米雇用統計の発表がある。
2月3日からの週の注目ポイント
3日 | 中国休場 | ☆ |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(1月確報) | ☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(1月速報) | ☆☆☆ | |
米ISM製造業景況指数(1月) | ☆☆☆ | |
4日 | 中国休場 | ☆ |
米耐久財受注(12月確報) | ☆☆ | |
米製造業新規受注(12月) | ☆☆ | |
5日 | 中国財新サービス業購買担当者景況指数(1月) | ☆☆ |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(1月確報) | ☆☆ | |
ユーロ圏生産者物価指数(12月) | ☆☆ | |
ADP全米雇用報告(1月) | ☆☆ | |
米貿易収支(12月) | ☆☆ | |
米ISM非製造業景況指数(1月) | ☆☆☆ | |
6日 | ニュージーランド休場 | ☆ |
独製造業受注(12月) | ☆☆ | |
ユーロ圏小売売上高(12月) | ☆☆ | |
英中銀政策金利公表 | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
7日 | 全世帯家計調査・消費支出(12月) | ☆☆ |
独鉱工業生産指数(12月) | ☆☆ | |
米雇用統計(1月) | ☆☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(2月速報) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
参照:SBI証券 > マーケットデータより
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