225の
『ココがPOINT!』

【米大統領選迫る】波乱が起きる可能性は?

2020/10/13
投資情報部 鈴木英之

10月第1週(10/5~10/9)の日経平均株価(週足)は3週間ぶりの反発となりました。新型コロナウイルスに感染したトランプ米大統領が快方に向かい、日本時間10/6(火)朝に退院したことなどを受け、「安心感」が広がりました。米追加経済対策に関する与野党協議については、トランプ米大統領が一時的に交渉の停止を要請する場面がありましたが、結局は交渉継続となり、大統領選挙前に追加経済対策が決定する可能性が残りました。

ただ、東京証券取引所の売買代金は次第に減少傾向をたどっています。その要因の1つとして、11/3(火)に迫る米大統領選を意識した一部の投資家が様子見ムードになっていることが考えられます。そこで、今回の「225の『ココがPOINT!』」では、米大統領選挙と日米の株価について考えてみました。

ココがPOINT!

1.株価は底固く推移も、売買代金は低水準

9月第5週(9/28~10/2)の日経平均株価は前週末比174円72銭(0.8%)安と、週足ベースでは3週続落となりました。10/1(木)に東京証券取引所では、システム障害で終日全銘柄が取引停止になるという初めての事態となり、続く10/2(金)の東京株式市場では、トランプ米大統領が新型コロナウイルスに感染したことが報道され、嫌気をさした売りが優勢になりました。

しかし、10月第1週(10/5~10/9)は、日経平均株価(週足)が前週末比589円79銭(2.6%)高と、3週間ぶりの反発となりました。新型コロナウイルスに感染したトランプ米大統領が快方に向かい、日本時間10/6(火)朝に退院したことなどを受け、「安心感」が広がりました。米追加経済対策に関する与野党協議については、トランプ米大統領が一時的に交渉停止を要請する場面もありましたが、結局は交渉継続となり、大統領選挙前に追加経済対策が決定する可能性が残りました。なお、10/9(金)には日経平均株価が23,725円58銭まで上昇し、今年の2/20(木)以来の高値水準に回復したことになります。

ちなみに、この週の米国株式市場ではNYダウが3.3%、ナスダックが4.6%上昇し、東京株式市場は米国株の上昇を好感した格好です。ただ、トランプ米大統領の退院は半ば強引であり、周囲への感染リスクを懸念する声も多いうえ、ツイッターを通じた情報・意見の発信も混乱を招いている様です。そのような背景もあり、東証1部の売買代金は前週に比べて5%程度減少し、10/6(火)と10/7(水)には2兆円を割り込み、様子見を決め込む投資家も増えている模様です。

こうした様子見気分は翌週にも、持ち越される展開になりました。結局、10/12(月)・10/13(火)の東京株式市場は動意に乏しい展開となり、売買代金が連日で2兆円を割り込み、特に10/12(月)の売買代金は1兆7,455億円と、8/27(木)以来の低水準を記録しました。

表1 日経平均株価の値動きとその背景(2020/10/6~2020/10/13)

  日経平均株価 日米株式市場等の動き
終値 前日比
10/6(火) 23,433.73 +121.59 トランプ米大統領が現地時間5日夕に退院し、買いが優勢。
10/7(水) 23,422.82 -10.91 3日ぶりに小幅反落。米大統領が新たな景気支援策を表明。
10/8(木) 23,647.07 +224.25 2/13以来およそ8カ月ぶりの高値。マザーズは4日続伸で1,300台乗せ。
10/9(金) 23,619.69 -27.38 オプションSQ清算値23,724円23銭直後まで上昇後、利益確定売りが増加。
10/12(月) 23,558.69 -61.00 東証売買代金が8/27以来の低水準。米経済対策を不安視。
10/13(火) 23,601.78 +43.09 買い材料に乏しく売り先行も午後には切り返す展開。売買代金は2日連続2兆円を割る。

※日経平均株価データ、各種資料をもとにSBI証券が作成。

図1 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2020/10/13取引時間中。

図2 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは米国時間2020/10/12現在。

図3 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2020/10/13取引時間中。

表2 当面の重要スケジュール

月日(曜日) 国・地域 予定内容 ポイント
10/13(火) 日本 9月マネーストック  
  日本 ★決算発表(47件) Jフロント、東宝、イズミ、アークス
  米国 9月消費者物価  
  米国 ☆決算発表 シティグループ、JPモルガン
  ドイツ 10月ZEW景況感指数  
  中国 9月貿易収支  
10/14(水) 日本 ★決算発表(58件) いちご、コメダ、サイゼリヤ、S FOODS、ABCマート
  米国 9月生産者物価  
  米国 ☆決算発表 バンカメ、GS
  - G20財務省・中央銀行総裁会合  
10/15(木) 日本 ★決算発表(71件) ウエストHD、日本国土開発、MrMaxHD、ファーストリテ
  米国 10月NY連銀製造業景気指数  
  米国 10月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数  
  米国 米大統領選挙の大統領候補討論会2回目 中止が決定
  米国 ☆決算発表 モルガン・スタンレー
  中国 9月生産者物価  
  中国 9月消費者物価  
  - 英、EUとの自由貿易協定(FTA)締結交渉の妥結期限  
  - EU首脳会議(~16日)  
10/16(金) 日本 ★決算発表(2件) ゲンダイエージェンシー、ベクター
  米国 9月小売売上高  
  米国 9月鉱工業生産・設備稼働率  
  米国 10月ミシガン大学消費者マインド指数  
10/19(月) 日本 9月貿易統計  
  日本 ★決算発表(1件) 光世証券
  米国 10月NAHB住宅市場指数
  米国 ☆決算発表 IBM
  中国 7-9月期GDP
  中国 9月工業生産
  中国 9月小売売上高
  中国 中国9月都市部固定資産投資
10/20(火) 日本 9月首都圏新規マンション発売  
  日本 ★決算発表(4件) アルインコ、KOA、Genky DrugStores、日本鋳造
  米国 9月住宅着工数
  米国 9月建設許可件数
  米国 ☆決算発表 テキサス・インスツルメント、ネットフリックス
10/21(水) 日本 9月訪日外客数  
  日本 ★決算発表(2件) ジャフコグループ、日本高純度化学
  米国 ベージュブック  
10/22(木) 日本 日銀「生活意識に関するアンケート調査」の結果  
  日本 ★決算発表(7件) 中外製薬、ディスコ、三谷産業、ビオフェルミン製薬
  米国 9月中古住宅販売件数
  米国 大統領候補討論会3回目
  米国 ☆決算発表 インテル、コカ・コーラ
10/23(金) 日本 9月消費者物価  
  日本 ★決算発表(28件) キヤノンMJ、富士通ゼ、沖縄セルラー、カワチ薬品、東京製鉄、京阪神ビ、

※各種報道、日米欧中銀WEBサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。

表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)

  2020年 2021年
日銀金融政策決定会合 10/29(木)、12/18(金) 1/21(木)、3/19(金)、4/27(火)、6/18(金)、7/16(金)、9/22(水)、10/28(木)、12/17(金)
FOMC(米連邦公開市場委員会) 11/5(木)、12/16(水) 1/27(水)、3/17(水)、4/28(水)、6/16(水)、7/28(水)、9/22(水)、11/3(水)、12/15(水)
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 10/29(木)、12/10(木) 1/21(木)、3/11(木)、4/22(木)、7/22(木)、9/9(木)、10/28(木)、12/16(木)

※日米欧中銀WEBサイトを基にSBI証券が作成。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。
なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しています。日付は日本時間(ただし、ECBの結果発表日程は現地時間)を基準に記載しています。

2.大統領選挙で波乱が起こる可能性は?

米大統領選挙の投票日が迫ってきました。米大統領選挙は「11月第1月曜日の翌日」と決まっており、今年は11/3(火)に実施される予定です。前回(2016年)は11/8(火)に実施され、大勢は日本時間で11/9(水)に判明しました。この大統領選挙に合わせ、NYダウおよび日経平均株価はどう動くのでしょうか。過去のデータから探ってみたいと思います。

表4は米大統領選挙(過去10回)の前後10営業日について、NYダウおよび日経平均株価の騰落率をみたものです。前回は、大統領選挙前10営業日前(2016/10/25)から選挙実施日(2016/11/8)にかけ、NYダウは0.9%上昇し、選挙実施後10営業日では3.8%上昇しました。日経平均株価は2016/11/9に予想外の結果にろうばい売りが膨らみ、日経平均株価は前日比919円84銭(5.4%)下げましたが、NY市場の反応をみて翌日には1,092円88銭高と切り返し、選挙実施後10営業日で5.8%の上昇になっています。

過去10回の大統領選挙を平均した場合、NYダウは選挙直前には少し上昇しやすく、選挙直後は下げやすいという傾向はあるものの、特に目立った特徴がある訳ではないようです。それを受けた東京株式市場も、選挙実施前10営業日、同実施後10営業日とも騰落を勝敗に表現すればともに5勝5敗というデータになっており、相関があるわけでもない様です。

そもそも、共和党と民主党は互いに過去何人も大統領を出しており、政権担当能力にも、日本などと比べても大きな相違はないように見受けられます。したがって、大統領選挙を経て大きな変化が生じる可能性は小さいとみられます。

確かに、民主党大統領候補のバイデン氏は法人増税を主張していますが、仮に同氏が当選した場合、公共投資や社会福祉の充実、環境政策の重視、自由貿易の再構築などの政策もあり、トータルで株式市場にマイナスの影響を及ぼすとは限らないとみられます。

ただし、懸念されるシナリオは、バイデン氏が勝利した場合に、トランプ陣営が敗北を認めず、新大統領の確定がスムーズに行われなかった場合など、過去経験のない出来事により株価に動揺が生じる可能性は否定できないと思います。

表4 米国大統領選挙前後10営業日の日米株価推移

大統領選挙
実施年
NYダウ騰落率(%) 選挙後の
大統領
政党 日経平均騰落率(%)
10営業日前
→投票日
投票日→
10営業日後
10営業日前
→投票日
直後の反応 投票日→
10営業日後
1980 -2.5% 6.5% ロナルド・レーガン 共和党 0.1% -0.2% -0.3%
1984 2.6% -3.9% ロナルド・レーガン 共和党 1.1% -1.1% -0.1%
1988 -2.1% -2.3% ジョージ・H・W・ブッシュ 共和党 1.4% 0.7% 5.1%
1992 2.1% -1.8% ビル・クリントン 民主党 -0.3% 1.3% -5.1%
1996 0.3% 5.2% ビル・クリントン 民主党 -3.3% 1.9% 1.8%
2000 5.4% -4.2% ジョージ・W・ブッシュ 共和党 1.6% 0.4% -6.1%
2004 1.4% 4.5% ジョージ・W・ブッシュ 共和党 -1.6% 0.5% 2.2%
2008 6.5% -12.5% バラク・オバマ 民主党 1.2% 4.5% -8.6%
2012 -0.7% -3.5% バラク・オバマ 民主党 -0.4% 0.0% 1.9%
2016 0.9% 3.8% ドナルド・トランプ 共和党 -0.4% -5.4% 5.8%
平均 1.4% -0.8%     -0.1% 0.3% -0.4%

※Bloombergデータ、日経平均株価データをもとにSBI証券が作成。
「10営業日前」および「10営業日後」は米国時間の米大統領選挙実施日から起算しています。「直後の反応」は、日本時間で大統領選挙実施日の翌日の前日比騰落率を指しています。なお、米国時間の大統領選挙実施日が日本で休日の場合、日経平均株価はその前営業日を実施日として計算しています。

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