225の
『ココがPOINT!』
"業績相場"到来か!?波乱相場の先を読み解く
投資情報部 鈴木英之
3月第3週(3/15~3/19)はFOMC(米連邦公開市場委員会)と、日銀金融政策決定会合が注目の的になりました。FOMCの結果としては2023年までの米ゼロ金利政策の継続が確認され、NYダウは3/17(水)に過去最高値を更新しました。
しかし、その後はインフレ懸念の強まりや、米大手銀行の自己資本比率規制緩和の終了等を受け、米長期金利が上昇したことにより反落となりました。日経平均株価も日銀のETF買い入れ方針変更等を受け、3/19(金)と3/22(月)の2営業日で計1,000円超下げる波乱となりました。3/23(火)も東京市場は買い一巡後に売りが増える不安定な展開になっています。
この波乱相場の先はどうなるのでしょうか。結論から先に申し上げれば“業績相場”到来が予想され、過度の懸念は不要とみますが、それはどういうことでしょうか。
ココがPOINT!
1.過度な不安は不要!?その理由とは。
NYダウの3月第3週(3/15~3/19)終値は前週末比0.5%安で、週足ベースで反落となりました。
3/17(水)のNYダウはFRBがFOMCでゼロ金利政策の長期化を改めて表明したことなどを受け、初の3万3千ドル台に乗せ、S&P500共に過去最高値を更新しました。一方、3/18(木)はゼロ金利政策の長期化によるインフレ加速の見方が強まり、米長期金利は一時1.75%まで上昇。これを受けて、高PER銘柄の主力IT株などに売りが広がりました。3/19(金)はFRBが大手銀行を対象にした自己資本規制の補完的レバレッジ比率(SLR)の緩和措置について延長しないことを発表し、影響が懸念される金融株が総じて安く、NYダウは続落となりました。
日経平均株価の3月第3週(3/15~3/19)終値は29,792円05銭となり、前週末(3/12)比74円22銭(0.2%)高となりました。週足ベースでは、3月第2週(3/8~3/12)の3.0 %高から続伸となりました。
3/18(木)の日経平均株価は一時30,485円まで値を戻しましたが、翌3/19(金)は前日比424円70銭安、3/22(月)も617円90銭安となり、2日累計で1,000円超の大幅安になりました。
日本株はなぜ、大きく下げたのでしょうか。
第一に、米長期金利の上昇・株価下落が続いたためと考えられます。
FRBが大手銀行の自己資本比率規制緩和の終了を決定したことで4月以降、国債への投資について銀行の自己資本の積み増しが要求されることになるため、米国債への売り圧力(金利上昇圧力)が一層強まる見通しになりました。
第二に、日銀のETF(上場投資信託)買い入れ方針の変更があげられます。
3/19(金)に日銀が金融政策決定会合にて、ETFの年間購入目標額について、“原則6兆円”とする下限の目安を廃止。さらに購入する指数について、日経平均株価の除外を発表し、売りが広がる形となりました。
ただ、株式相場への過度な懸念は不要であり、押し目買いが有効になると考えられます。
その理由は、株式市場は世界的に、“金融相場”から“業績相場”への過渡期にあるように思われるためです。
“金融相場”とは、株式相場が大底から立ち上がる時の局面で、景気・企業業績は未ださほど良くないものの、金融緩和に支えられて株式相場が上昇している局面と特徴付けられます。言い換えれば、“理想買い”の局面と言えそうです。
その後、中間調整を経て、株式相場は“業績相場”へ移行すると考えられることから、金利は上昇局面にあるものの、業績拡大傾向を織り込み、株価は上昇局面になることが期待されます。
気になるトピックス
3/19(金)に半導体大手のルネサスエレクトロニクス(6723)の主力工場で発生した火災は、半導体不足に深刻な影響を及ぼす懸念が強まっています。同社は1ヵ月以内の再開をめざす方針ですが、供給の正常化には3ヵ月以上を要する見通しであり、車載半導体不足に伴う、自動車の減産は避けられないとの見方も出ています。
3/22(月)の株価は主要ユーザーである自動車メーカーのトヨタ(7203)や日産(7201)等が大幅安となり、TOPIXの上値を抑える1つの要因になりました。
図表1 日経平均株価の値動きとその背景(2021/3/16~2021/3/23)
日経平均株価 | 日米株式市場等の動き | ||
終値 | 前日比 | ||
3/16(火) | 29921.09 | +284.69 | 日経平均株価はザラ場中に一時3万円台回復も、FOMCを控え様子見ムードから上値は重い展開。 |
3/17(水) | 29,914.33 | -6.76 | 7日ぶりに反落。FOMCや日銀の金融制作決定会合控え、様子見ムードに。反落となったものの、値上がり銘柄数が6割を占めた。 |
3/18(木) | 30,216.75 | +302.42 | FRBがゼロ金利政策の維持を改めて表明し、買いが広がるも、日銀が国内金利の上昇容認と報道され、上げ幅を休息に縮めた。 |
3/19(金) | 29,792.05 | -424.70 | 米長期金利上昇に加え、日銀がETFの買い入れについて日経平均連動型を除外する方針を明らかにし、一段と売りが膨らむ。 |
3/22(月) | 29,174.15 | -617.90 | 米株安に加え、米長期金利の上昇懸念や日銀のETF購入方法の変更など重荷に。 |
3/23(火) | 28,995.92 | -178.23 | 寄り付き後は反発したものの、次第に売りが優勢に。ファストリなど値がさ株を中心に広く売られる。 |
図表2 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
図表3 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
図表4 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
図表5 当面の重要スケジュール
月日 | 国・地域 | 予定内容 | 備考 |
3/23(火) | アメリカ | 10-12月期経営収支 | |
2月新築住宅販売件数 | |||
★決算発表 | アドビ | ||
3/24(水) | 日本 | 1/20・21開催の日銀金融政策決定会合議事要旨 | |
2月企業向けサービス価格指数 | |||
アメリカ | 2月耐久財受注 | ||
3/25(木) | 日本 | 東京五輪の聖火リレーが福島からスタート予定 | |
アメリカ | 10-12月期実質GDP | ||
バイデン米大統領、就任後初の正式な記者会見 | |||
EU | EU首脳会議(~26日) | ||
3/26(金) | アメリカ | 2月個人所得・個人支出 | |
ドイツ | 3月IFO景況感指数 | ||
3/28(日) | 欧州 | 夏時間入り | |
3/29(月) | 日本 | 3/18・19開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」 | |
3月末権利付き最終日 | |||
3/30(火) | 日本 | 2月失業率・有効求人倍率 | |
2月商業動態統計 | |||
アメリカ | 1月FHFA住宅価格指数 | ||
1月S&PコアロジックCS住宅価格指数 | |||
3月コンファレンスボード消費者信頼感指数 | |||
★決算発表 | バイオエヌテック | ||
3/31(水) | 日本 | 2月鉱工業生産 | |
中国 | 3月製造業・非製造業PMI | ||
3月コンポジットPMI | |||
EU | 3月ユーロ圏消費者物価指数 | ||
アメリカ | 3月ADP雇用統計 | ||
2月中古住宅販売仮契約 | |||
★決算発表 | マイクロン・テクノロジー | ||
4/1(木) | 日本 | 1-3月期日銀短観 | |
3月自動車販売台数 | |||
高年齢者雇用安定法が施行 | |||
ソニーが「ソニーグループ」に社名変更 | |||
中国 | 3月Caixin製造業PMI | ||
アメリカ | 3月ISM製造業景気指数 | ||
4/2(金) | 日本 | 3月マネタリーベース | |
アメリカ | 3月雇用統計 | ||
- | 聖金曜日により米(為替は通常取引)、欧州、アジア主要市場が休場 |
図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)
2021年 | |
日銀金融政策決定会合 | 4/27(火)、6/18(金)、7/16(金)、9/22(水)、10/28(木)、12/17(金) |
FOMC(米連邦公開市場委員会) | 4/28(水)、6/16(水)、7/28(水)、9/22(水)、11/3(水)、12/15(水) |
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 | 4/22(木)、7/22(木)、9/9(木)、10/28(木)、12/16(木) |
2.波乱相場の先に“業績相場”が到来か!?
前述した通り、現在の波乱相場のその先には、“業績相場”が待ち構えていると考えられます。
そもそも米金利上昇局面は米国の景気・企業業績が拡大する時期で、円安・ドル高傾向もあり、日本株へ追い風になるという面もあります。日銀のETFの購入縮小問題についても、日経平均株価が1990年以来の高値を回復する中で、すでに日銀による購入額は減少しており、現状追認という側面が強そうです。日銀によるETF購入が日経平均採用銘柄への物色の偏りにつながった面もあり、それを修正する意味もありそうです。
日経平均株価の下値目途としては、以下が想定されます。
(1)3月下旬から4月中旬頃の日経平均株価「一目均衡表」のクモの下限に近い28,500円前後。
(2)日経平均株価の目先の安値(3/5終値)28,308円。
(3)日経平均株価の本年高値(2/16終値)30,467円から10%下落した27,420円前後。
図表7 日本銀行によるETF(上場投資信託)買い入れ額の推移(億円)
相場が大きく動いたら?
SBI証券なら多彩な商品群で取引チャンスを逃がしません!
- 国内株式
レパレッジ型ETFを活用すれば、日経平均の急な動きにも対応可能!
- 外国株式
米国株式、中国株式を含めた9ヵ国に投資!海外ETFで分散投資も可能です!
- 投資信託
日本の株式市場の動きを予測して短期でハイリターンを狙えるファンドがあります!
- FX
約5,000円から取引できる!ほぼ24時間取引&手数料はもちろん0円!
- 先物・オプション
日経平均に少ない資金で投資できる!レバレッジを効かせて、大きな利益を狙え!
- CFD
先進諸国の株価指数がほぼ24時間取引可能!特徴を理解することが勝利への道!
- ワラント
ダイナミックな値動きがeワラントの特徴!商品の魅力を知るなら必見!
- 金・プラチナ
有事の際の金・プラチナでリスクヘッジも!ほぼ24時間リアルタイムで取引可能!
先物・オプション取引
先物・オプション取引を
はじめるには
先物・オプションのお取引には、先物・オプション取引口座の開設が必要になります。
※PCでのお手続きを推奨しております
当社の総合口座をお持ちでないお客さま
先物・オプション取引関連ページ
信用取引のご注意事項
-
-
・信用取引に関するリスク
信用取引は、差し入れた委託保証金額の約3倍の取引を行うことができます。そのため、現物取引と比べて大きなリターンが期待できる反面、時として多額の損失が発生する可能性も含んでいます。また、信用取引の対象となっている株価の変動等により、その損失の額が、差し入れた委託保証金額を上回るおそれがあります。この場合は「追加保証金」を差し入れる必要があり状況が好転するか、あるいは建玉を決済しない限り損失が更に膨らむリスクを内包しています。
追加保証金等自動振替サービスは追加保証金が発生した際に便利なサービスです。 -
・信用取引の「二階建て」に関するご注意
委託保証金として差し入れられている代用有価証券と同一銘柄の信用買建を行うことを「二階建て」と呼びます。当該銘柄の株価が下落しますと信用建玉の評価損と代用有価証券の評価額の減少が同時に発生し、急激に委託保証金率が低下します。また、このような状況下でお客さま自らの担保処分による売却や、場合によっては「追加保証金」の未入金によって強制決済による売却が行われるような事態になりますと、当該株式の価格下落に拍車をかけ、思わぬ損失を被ることも考えられます。よって、二階建てのお取引については、十分ご注意ください。 - もっと見る 閉じる
-
・信用取引に関するリスク
先物・オプション取引の免責事項・注意事項
-
- ・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社、および情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製、または販売等を行うことは固く禁じます。
-
・必要証拠金額は当社SPAN証拠金(発注済の注文等を加味したSPAN証拠金×100%)-ネット・オプション価値(Net Option Value)の総額となります。
・当社SPAN証拠金、およびネット・オプション価値(Net Option Value)の総額は発注・約定ごとに再計算されます。
・SPAN証拠金に対する掛け目は、指数・有価証券価格の変動状況などを考慮のうえ、与信管理の観点から、当社の独自の判断により一律、、またはお客さまごとに変更することがあります。
・「HYPER先物コース」選択時の取引における建玉保有期限は新規建てしたセッションに限定されます。必要証拠金額はSPAN証拠金×50%~90%の範囲で任意に設定が可能であり、また、自動的に決済を行う「ロスカット」機能が働く取引となります。
・先物・オプションのSPAN証拠金についてはこちら(日本証券クリアリング機構のWEBサイト)
・指数先物の価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。市場価格が予想とは反対の方向に変化したときには、比較的短期間のうちに証拠金の大部分、またはそのすべてを失うこともあります。その損失は証拠金の額だけに限定されません。また、指数先物取引は、少額の証拠金で多額の取引を行うことができることから、時として多額の損失を被る危険性を有しています。
・日経平均VI先物取引は、一般的な先物取引のリスクに加え、以下のような日経平均VIの変動の特性上、日経平均VI先物取引の売方には特有のリスクが存在し、その損失は株価指数先物取引と比較して非常に大きくなる可能性があります。資産・経験が十分でないお客さまが日経平均VI先物取引を行う際には、売建てを避けてください。
・日経平均VIは、相場の下落時に急上昇するという特徴があります。
・日経平均VIは、急上昇した後に数値が一定のレンジ(20~30程度)に回帰するという特徴を持っています。
・日経平均VIは、短期間で急激に数値が変動するため、リアルタイムで価格情報を入手できない環境での取引は推奨されません。
・指数オプションの価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。買方が期日までに権利行使又は転売を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。売方は、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。また、指数オプション取引は、市場価格が現実の指数に応じて変動しますので、その変動率は現実の指数に比べて大きくなる傾向があり、場合によっては大きな損失を被る危険性を有しています。
・未成年口座のお客さまは先物・オプション取引口座の開設は受付いたしておりません。
・「J-NETクロス取引」で取引所 立会市場の最良気配と同値でマッチングする場合、本サービスをご利用いただくお客さまには金銭的利益は生じないものの、SBI証券は取次ぎ手数料をSBIジャパンネクスト証券から受取ます。
・J-NETクロス取引の詳細は適宜修正される可能性がありますのでご留意ください。 - もっと見る 閉じる