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『ココがPOINT!』
上昇のシグナルが!?日経平均株価は31,000円まで回復か
投資情報部 鈴木英之
日経平均株価は29,000円を目前に上値の重い展開となっています。年初来騰落率も欧米などと比較し、出遅れが目立っています。
これらの主な原因は日本の新型コロナウイルス向けワクチンの接種が、欧米諸国に対して出遅れていることが影響しているといえるでしょう。
しかし、今後は株式市場の空気は大きく変わり、日経平均株価の上昇ムードが強まりそうです。
理由は、世界で投資家が注目している“ある”上昇シグナルが点灯したためです。
ココがPOINT!
1.日経平均株価は3週ぶりに反落
日経平均株価は、6月第1週(5/31~6/4)終値が28,941円52銭となり、前週末(5/28)比で207円89銭(0.7%)安、週足ベースで3週ぶりに反落となりました。
29,000円を目前に上値の重さが目立ち、利益確定売りに押されていましたが、国内での新型コロナウイルス向けワクチンの接種進展に期待感が高まり、景気敏感株を中心にアフターコロナ関連銘柄が物色される展開となりました。
6/3(木)は政府が半導体の開発・生産体制の強化に向けた新戦略案として、半導体を含むデジタル産業基盤の確保を国家事業として進める方針を示し、半導体関連銘柄が総じて上昇しました。
一方、6月第1週(6/1~6/4)のNYダウは前週末比0.7%高、週足ベースで続伸となりました。
5月のISM製造業景況感指数が上昇し、好不況の境目である50を大幅に上回った他、5月のISM非製造業景況感指数は過去最高を更新。この他、5月のADP雇用統計が市場予想を上回って上昇するなど、良好な経済指標の結果を受け、米長期金利が上昇する場面がありました。なお、5月の雇用統計では非農業部門雇用者数が増加。市場予想を下回る結果となりましたが、雇用の改善基調は変わっていません。
インフラ投資計画については、バイデン米大統領が共和党との協議で、法人税率の引き上げを取り下げ、譲歩する姿勢を示したと報道。今後の展開が気になるところです。
■気になるトピックス
6/2(水)にWTI原油先物が2018年10月以来、およそ2年7ヵ月ぶりの高値を更新しました。新型コロナウイルス向けワクチンの接種が進み、新規感染者数が減少傾向にあることなどから、ドライブの増加を見込んだガソリン需要への期待が高まっているようです。
図表1 日経平均株価の値動きとその背景
日経平均株価 | 日米株式市場等の動き | ||
終値 | 前日比 | ||
6/1(火) | 28,814.34 | -45.74 | 続落。29,000円を前に上値の重さが目立ち、利益確定売りや持ち高調整に押される。 |
6/2(水) | 28,946.14 | 131.80 | 3日ぶりに反発。ワクチン接種の進展に対した期待感が強く、景気敏感株が上昇。 |
6/3(木) | 29,058.11 | 111.97 | 政府が半導体産業の国内誘致を進める方針で半導体関連が高い。トヨタが連日で上場来高値を更新。 |
6/4(金) | 28,941.52 | -116.59 | 3日ぶりに反落。米長期金利が上昇し、グロース株の一角が売られた。米中対立懸念が相場の重荷に。 |
6/7(月) | 29,019.24 | 77.72 | 米株高を追い風に上昇。高値を更新していたトヨタが5日ぶりに反落。自動車株全体に売りが波及した。 |
図表2 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
図表3 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
図表4 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
図表5 当面の重要スケジュール
月日(曜日) | 国・地域 | 予定内容 | 備考 |
6/9(水) | 中国 | 5月生産者・消費者物価指数 | |
資金調達総額(~15日までに発表予定) | |||
6/10(木) | 日本 | ★決算発表 | 積水ハウス |
5月都心オフィス空室率 | 4月は5.65%で、14ヵ月連続で低下。 | ||
欧州 | ECB定例理事会/ラガルド総裁会見 | テーパリングへの観測に変化は生じるのか | |
アメリカ | 5月消費者物価指数 | コア指数の市場予想は前年同月比+3.5% | |
1~3月期家計純資産変化 | |||
6/11(金) | 日本 | 4~6月期法人企業景気予測調査 | |
メジャーSQ算出日 | 3月は29,282円41銭。 | ||
アメリカ | ミシガン大学消費者マインド速報値 | ||
イギリス | G7サミット(~13日) | 英国南部コーンウォールで開催 | |
6/12(土) | ゲーム関連年次大規模カンファレンス(E3) | ||
6/14(月) | - | 北大西洋条約機構(NATO)首脳会議 | |
中国・香港・台湾 | 休場(端午節) | ||
6/15(火) | 日本 | 4月第三次産業活動指数 | |
★決算発表 | R-星野、R-インベスコ、R-積水ハ | ||
アメリカ | FOMC(~16日) | 発表は日本時間6/17早朝 | |
5月小売売上高 | |||
5月鉱工業生産・設備稼働率 | |||
カリフォルニア州で経済活動全面再開予定 | |||
★決算発表 | オラクル | ||
6/16(水) | 日本 | 5月貿易統計 | |
通常国会会期末 | |||
中国 | 5月小売売上高、工業生産、都市部固定資産投資 | ||
ジュネーブ | 米ロ首脳会談 | ||
アメリカ | パウエルFRB議長会見(経済見通し発表) | ||
5月住宅着工件数 | |||
★決算発表 | レナー | ||
6/17(木) | 日本 | 日銀金融政策決定会合(~18日) | |
アメリカ | 6月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数 | ||
★決算発表 | アドビ | ||
6/18(金) | 日本 | 黒田日銀総裁会見 | |
5月消費者物価 | |||
アメリカ | ★決算発表 | カーニバル | |
イラン | 大統領選 | ||
6/20(日) | 日本 | 緊急事態宣言解除予定 |
図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)
2021年 | |
日銀金融政策決定会合 | 6/18(金)、7/16(金)、9/22(水)、10/28(木)、12/17(金) |
FOMC(米連邦公開市場委員会) | 6/16(水)、7/28(水)、9/22(水)、11/3(水)、12/15(水) |
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 | 7/22(木)、9/9(木)、10/28(木)、12/16(木) |
2.日経平均は31,000円まで上昇か
日本株の出遅れが鮮明です。
年初来(2020年末~2021/6/4)の株価上昇率は、米S&P500指数+12.6%、独DAX指数+14.4%、英FT100指数+9.4%、仏CAC指数+17.4%ですが、日経平均株価は+5.4%、TOPIX+8.6%にとどまっています。
日本の新型コロナウイルス向けワクチンの接種が、欧米諸国に対して出遅れたことが影響しているといえるでしょう。
しかし、今後は株式市場の空気は大きく変わり、日経平均株価の上昇ムードが強まりそうです。
図表7は、米国S&P500指数と新型コロナウイルス向けワクチン接種率の推移です。
ここでのワクチン接種率は、1人1回接種した場合の接種率となります。
6/4(金)時点での米国のワクチン接種回数はおよそ2億9,900万回で、人口3.3億人に対し、ワクチン接種率は90.6%となります。新型コロナウイルス向けワクチンは一般的に2回接種することで“接種完了”となるため、ワクチン接種率が200%で全人口の接種が完了した計算になります。
なお、1人あたり2回の接種で“接種完了”となることを前提とした場合のワクチン接種率は45.3%です。
6/2(水)付のBloombergでは、「ワクチン接種率(接種回数÷人口)が10%を超えると相場が堅調となる傾向」と報じられています。米国でも、新型コロナウイルス向けのワクチン接種率が10%に達成したあたりから株価の上昇が加速。S&P500はワクチン接種率が10%を超えた2/1(月)から6/4(金)までの間で12.6%上昇しました。(図表7)
また、各国の主要株価指数も接種率が10%を超えて以降、“平均7.7%”上昇しています。(図表8)
こうした中、6/1(火)に日本のワクチン接種率が10%台に乗せ、陸運・空運などの『ポスト・コロナ』関連株が動意付いて来ました。図表8のように接種率が10%を超え、“平均7.7%”上昇したと仮定した場合、日経平均株価は6/1(火)終値28,814円に対して、31,033円程度まで上昇しても不思議ではありません。
無論、日本には東京での大型イベントの開催が予定されており、その開催を経て、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えられるのか否かについては、固有の課題と言えるでしょう。また、副反応などの問題については、世界的に長期的なリスク要因として積み残される可能性もありそうです。
図表7 米国S&P500指数と新型コロナウイルス向けワクチン接種率の推移
図表8 ワクチン接種率が10%を超えて以降の主要国株価指数の騰落率
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