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『ココがPOINT!』
≪日経平均株価は35,000円まで上昇か≫年後半相場突入で気になる今後の見通し
投資情報部 鈴木英之
6月第4週(6/21~6/25)の日経平均株価は日銀のETF購入もあり、次第に落ち着きを取り戻してきたようです。
6/29(火)からは受け渡しベースで、年後半相場に突入です。
日経平均株価はどこまで上昇する可能性があるのでしょうか。
ココがPOINT!
1.日経平均株価は乱高下後、落ち着きを取り戻しはじめたか
日経平均株価は、6月第4週(6/21~6/25)終値が29,066円18銭となり、前週末(6/18)比で102円10銭(0.4%)高、週足ベースで3週続伸となりました。
6/22(火)は5日ぶりに大幅反発。上げ幅は2020/6/16以来およそ1年ぶりの大きさとなり、日経225銘柄は全て上昇し、全面高となりました。前日の6/21(月)に日銀が2ヵ月ぶりにETFを購入したことで、一時期的な安心感が広がったことも上昇要因の1つとなった様です。個別銘柄では、今期純利益見通しを上方修正した商船三井(9104)が大幅高となり、海運株が総じて上昇。また、総合電機の富士通(6702)はおよそ20年ぶりに節目の2万円を上回りました。
6/24(木)は相場の強弱感が対立し、方向感が乏しい展開に。東証1部の売買代金はおよそ5ヵ月ぶりの低水準となり、騰落幅については終日売買停止のあった2020/10/1を除くと、2017/10/31以来の小ささでした。
6/25(金)はおよそ1週間ぶりに終値で2万9,000円台を回復。米株高を追い風に、鉄鋼など景気敏感株の一角が上昇。ただし、買い材料は乏しく、場中は2万9,000円を下回る場面もありました。
6/28(月)は3日ぶりに小幅反落。米ハイテク株安を受けて、東京エレクトロン(8035)など値がさの半導体が売られました。
6月第4週(6/21~6/25)のNYダウは前週末比3.4%高、週足ベースで反発となりました。
6/22(火)は米長期金利が低下し、アップルなどハイテク株が買われ、ナスダックは続伸。およそ1週間ぶりに最高値を更新しました。
6/24(木)はバイデン米大統領のインフラ投資計画の進展を受けてインフラ関連銘柄が上昇し、S&P500が最高値となりました。また、ナスダックは連日で最高値を更新。マイクロソフトなど、ハイテク株の一角が相次いで上場来高値を更新しました。
6/25(金)は好決算を発表したナイキが急伸。1銘柄でNYダウをおよそ130ドル押し上げました。また、S&P500が連日で最高値を更新。一方、ナスダックは5日ぶりに反落。米長期金利の上昇により、ハイテク株の一角が売られる展開となりました。
図表1 日経平均株価の値動きとその背景
日経平均株価 | 日米株式市場等の動き | ||
終値 | 前日比 | ||
6/22(火) | 28,884.13 | 873.20 | 5日ぶりに大幅反発。上げ幅は2020/6/16以来およそ1年ぶりの大きさ。前日に日銀が2ヵ月ぶりにETFを購入し、安心材料の1つとなった様子。 |
6/23(水) | 28,874.89 | -9.24 | 米株高を追い風に上昇も、米金融緩和政策に対する不透明感から売りが優勢。パウエルFRB議長の議会証言で早期利上げに対し、懸念される発言がなかったことで安心感が広がった。 |
6/24(木) | 28,875.23 | 0.34 | 相場の強弱感が対立し、方向感の乏しい展開に。騰落幅は終日売買停止のあった2020年10月1日を除くと、17年10月31日(06銭安)以来の小ささ。 |
6/25(金) | 29,066.18 | 190.95 | 続伸。終値で2万9,000円台を回復するのは今月17日(木)以来。米株高を追い風に上昇も買い材料は乏しく、2万9,000円を下回る場面もあった。 |
6/28(月) | 29,048.02 | -18.16 | 3 日ぶりに反落。米ハイテク株安を受けて、東京エレクトロンなど値がさの半導体の一角が安い。売買代金は2兆円を下回り、低調。 |
図表2 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
図表3 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
図表4 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
図表5 当面の重要スケジュール
月日(曜日) | 国・地域 | 予定内容 | 備考 |
6/30(水) | 日本 | 5月鉱工業生産 | |
6月消費動向調査 | |||
東証、新市場区分への移行基準日(一斉移行は2022/4/4) | |||
中国 | 6月製造業・非製造業PMI | ||
アメリカ | 6月ADP雇用統計 | 労働省「雇用統計」の“前哨戦” | |
★決算発表 | マイクロン・テクノロジー、ゼネラルミルズ | ||
7/1(木) | 日本 | 6月日銀短観 | 大企業・製造業の業況判断指数は前回5 |
6月自動車販売台数 | |||
中国 | 6月Caixin製造業PMI | ||
中国共産党100周年記念大会 | |||
香港 | 休場 | ||
アメリカ | 6月ISM製造業景気指数 | 新規受注、雇用等の個別指標にも注目 | |
★決算発表 | ウォルグリーンブーツアライアンス | ||
7/2(金) | 日本 | 6月マネタリーベース | |
★決算発表 | アスクル、良品計画 | ||
アメリカ | 6月雇用統計 | 非農業部門雇用者数は70万人増の予想 | |
5月製造業受注 | |||
7/4(日) | 日本 | 東京都議会選挙投開票 | |
アメリカ | 独立記念日 | ||
7/5(月) | アメリカ | 休場(独立記念日の振替休日) | |
7/6(火) | 日本 | 5月毎月勤労統計調査 | |
5月家計調査 | |||
★決算発表 | キューピー、イオンモール、サンエー | ||
ドイツ | 7月ZEW景況感指数 | ||
アメリカ | 6月ISM非製造業景気指数 | ||
7/7(水) | 日本 | 5月景気動向指数 | |
★決算発表 | ウエルシアHD、イオンFS、ディップ | ||
アメリカ | FOMC議事要旨(6/15、16日分) | ||
7/8(木) | 日本 | 6月都市オフィス空室率 | |
6月景気ウオッチャー調査 | |||
★決算発表 | セブン&IHD、ローソン、久光薬 | ||
アメリカ | 5月消費者信用残高 | ||
7/9(金) | 日本 | 6月マネーストック | |
オプションSQ | |||
★決算発表 | 安川電、ビックカメラ、OSG | ||
中国 | 6月生産者・消費者物価指数 | ||
ベネチア | G20財務相・中央銀行総会合(~10日) |
図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)
2021年 | 2022年 | |
日銀金融政策決定会合 | 7/16(金)、9/22(水)、10/28(木)、12/17(金) | 未定 |
FOMC(米連邦公開市場委員会) | 7/28(水)、9/22(水)、11/3(水)、12/15(水) | 1/26(水)、3/16(水)、5/4(水)、6/15(水)、7/27(水)、9/21(水)、11/2(水)、12/14(水) |
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 | 7/22(木)、9/9(木)、10/28(木)、12/16(木) | 1/20(木)、3/10(木)、4/14(木)、6/9(木)、7/21(木)、9/8(木)、10/27(木)、12/15(木) |
2.日経平均株価は年後半、35,000円近辺まで上昇も
2021年後半の日経平均株価は、35,000円に到達する可能性もありそうです。
35,000円に到達するにはPBRが1.5倍まで高まる必要がありますが、現在の投資環境は、過去にPBRが1.5倍まで上昇した時と似ているようです。
図表7は、日経平均株価とPBR1.0倍相当、同1.3倍相当、同1.5倍相当をグラフ化したものです。日経平均株価はここ数年、PBR1.0倍から1.3倍までの水準で推移してきたことが分かります。
6/28(月)の日経平均株価の終値は29,048円でPBR1.25倍ですが、こうした水準を踏まえると、PBR1.3倍相当まで上昇する可能性は大いにあります。
過去、日経平均株価のPBRは2013/5に1.5倍を付けて下げた後、2015/4には1.48倍まで再上昇しました。このようにPBRが1.5倍近辺まで上昇した期間をクローズアップしたものが図表8です。
この時期は主に以下のような出来事がありました。
2013/05/22(水)・・・バーナンキFRB議長(当時)が量的緩和縮小(テーパリング)の可能性を示唆
2013/05/23(木)・・・日経平均株価が1,143円安
2013/12/18(水)・・・FRBがテーパリング開始を決定(翌年から資産購入買い入れ額を縮小)
2014/10/29(水)・・・FRBが資産購入を終了(ただし当面、FRB総資産残高は維持)
2015/12/16(水)・・・FRBが政策金利(上限)を0.25%から0.50%に引き上げ(2006/6以来の利上げ)
上記の2013/5以降の動きを見てみると、直近6/16(水)のFOMCで利上げ時期の予想が前倒しされ、テーパリングや利上げの現実味が増してきた動きは似ている点が多いとみられます。
なお、2013/5末時点で、FRBの総資産は前年末比16%増でした。資産購入は縮小したものの、資産規模は縮小せず、2014年頃まで拡大が続きました。それを受け、日経平均株価も2015/8までは上昇基調が続きました。
そもそも、FRBが出口戦略を検討しはじめる時は、おおむね米国の景気が良い時です。
同国の失業率は2013/5に7.5%でしたが、2013年末は6.7%、2014年末は5.6%、2015年末は5.0%と低下を続けました。米国経済との関わりが深い日本経済にとって、米国の好景気は追い風です。実際に2013/5以降、日経平均株価のPBRは上昇し、株価も上昇基調となりました。
米国ではバイデン大統領による経済政策が進み、経済の再開もここからが本番とみられ、引き続き景気拡大が見込めそうです。一方、日本の場合は今後、新型コロナウイルス向けワクチンの接種が佳境を迎えると予想され、その効果が次第に表面化してくることが期待されます。東京での大規模イベントを経て、景気回復期待がさらに上昇すれば、2013年と同様にPBR1.5倍も可能とみられます。
反面、図表8にもあるように、テーパリング決定後や“最初の利上げ”がリスク要因であることに変化はありません。
特に利上げについては、調整が長引くことが想定されますが、実際に動きはじめるのは2022年以降になると予想されます。
図表7 PBR1.5倍なら、日経平均株価は35,000円近辺まで上昇も
図表8 バーナンキショック(2013/5)以降、しばらくは日本株も上昇
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