特集レポート
【マーケット・フラッシュ】米国株が急落も底堅い印象の東京市場、当面の見通しは
投資情報部 鈴木 英之
株式市場が内外で再び、波乱含みの展開になっています。6/11(木)の米国株式市場では、NYダウが3営業日続落となり、この日の下げ幅は前日比1,861.82ドルと過去4番目の大きさとなりました。それを嫌気して、6/12(金)の東京株式市場でも大きく売りが先行する形になっています。
株式市場は3月以降、世界的に戻り歩調を辿ってきました。NYダウは3/23(月)安値18,213.65ドルから6/8(月)高値27,580.21ドルまで51.4%も上昇し、ナスダックについては最高値を更新し、史上初の10,000ポイント台乗せを達成(6/10)しました。一方、我が国では日経平均株価が3/19(木)安値16,358円19銭から、6/9(火)高値23,185円85銭まで、41.7%の上昇となりました。
こうした内外の相場反発の要因を改めて整理すると、以下のようになっていたと考えられます。
(1)新型コロナウイルスの感染が先進国を中心に、拡大傾向に一巡感が台頭。
(2)上記の動きと並行し、多くの国が都市封鎖や人の移動を制限する政策を解除する方向になったこと。
(3)主要国の多くが未曽有の金融緩和や大規模な財政政策を発表し、実施の方向になったこと。
(4)経済指標の底入れ・上振れを背景に、外為相場で円安・ドル高が進展したこと。(日本株高の要因)
こうした中、ここにきて(1)の新型コロナウイルス感染一巡ムードに陰りが出始め、世界的に再び感染拡大が加速する懸念が強まってきたことが、冒頭の株価急落の要因であると考えられます。(2)の動きは将来の経済再生につながるものと期待されますが、タイミングが早過ぎとなり、新型コロナウイルスの感染が再加速する展開につながるリスクが指摘されます。大統領選挙を11月に控え、一刻も早く経済を再開させたい米国ではこのリスクが大きく、一部でそれが顕在化し始めていると考えられます。(4)については、6/5(金)を円安・ドル高のピークとし、雇用統計発表やFOMC(米連邦公開市場委員会)を経て、円高・ドル安に転じたことで、現在は日本株にとって逆風をもたらす要因となっているようです。
今後はどうなるのでしょうか。6/11(木)に米国株が急落した割に日本株が底堅いのは、我が国では、新型コロナウイルスの感染が総じて減速方向で、死者数がゼロの日も出始めるなど、海外とは一線を画した動きになっているためとみられます。最後まで感染拡大に歯止めをかけるべく、部分的自粛要請を続けてきた東京でも、6/11(木)には「東京アラート」が解除されるなど、前向きな動きが続いています。したがって、海外株式市場の波乱に極端に動揺する必要はないかと思われます。
それでも、新型コロナウイルスの世界的な拡大に再びスポットが当たり、投資家がリスクに敏感になり始めており、海外株の調整が続く可能性があるため、日経平均株価はもう少し不安定な展開が続くかもしれません。当面の下値のメドとしては、25日移動平均線が位置する21,000円台半ば前後が意識されそうです。
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