特集レポート
【マーケット・フラッシュ】日本株は「大相場」に発展していくのか?
投資情報部 鈴木 英之
日経平均株価は11/9(月)、2018年以降3回トライして跳ね返されてきた水準を上回り、29年ぶりの高値水準に上昇してきました。激戦州での集計が長引き、最後までもつれてきた米大統領選挙ですが、接戦をものにしたバイデン氏が米国時間11/7(土)に「勝利宣言」を行いました。トランプ氏が敗北宣言を行っていないため「確定」とはいかないようですが、バイデン氏は「当確」となり、2021/1から米国の第46代大統領に就任することになりそうです。バイデン氏が「勝利宣言」を行ったことで、株式市場のリスクオンは続きやすくなりそうです。
そうした中、米製薬大手ファイザーが新型コロナウイルス向けワクチンの治験で90%の有効性を得たというニュースが飛び込んできました。同社は11月第3週以降、FDA(米食品医薬品局)に緊急使用の許可を申請する方針です。同社は2021年にこのワクチンを最大13億回生産できる見通しで、日本とも2021/6までに6,000万人分供給の基本合意をしています。これを好感した11/9(月)の米国市場ではNYダウが取引時間中の高値を更新し、一時29,933ドル(前日比1,610ドル高)まで上昇しました。これが好感された11/10(火)の東京株式市場では、日経平均株価が買い先行となり、約29年ぶりに25,000円の大台を回復してきました。
2018年以降3回も跳ね返されてきた水準を突破してきたことで、チャート的には日経平均株価が「大相場」に発展してきたように思われます。日経平均株価は1989年末に過去最高値38,915円を付けた後下がり始め、1991/11に25,000円近辺にいたので、ここから上の水準での滞留期間は比較的短いと思われます。言い換えれば、上値のしこりは少ないとみられ、相場が大きく跳ねやすい局面になってきたと思われます。日本経済がここから回復局面を指向していることや、低金利が持続しそうな投資環境等を考えると、上昇局面はまだ続く可能性が大きいとみられます。
年末から年初にかけては、日経平均株価が1991/3の高値水準である27,000円近辺に上昇する可能性もありそうです。ただ、日経平均株価は11/4(水)および11/9(月)に窓を開けて上昇したので、過熱感も出てきました。11/10(火)の取引開始後に付けた高値25,279円で引けた場合、日経平均株価の25日移動平均かい離率は6.8%まで上昇してきます。短期的にはいったん下げても不思議ではない条件が出てきたようです。
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