特集レポート
【マーケット・フラッシュ】波乱継続の東京株式市場、最初の下値メドに接近
投資情報部 鈴木 英之
東京株式市場の波乱が続いています。日経平均株価は3/18(木)に昨年来高値(終値ベース)を一時上回る30,485円まで上昇していましたが、3/24(水)はそこから約2,000円安い水準まで売り込まれています。
3/23(火)までの相場下落の主な理由は、米長期金利の上昇と日銀のETF(上場投資信託)購入方針の変化等でした。それに、ルネサスエレクトロニクスの工場火災による半導体供給不足問題も影響していたと思われます。3/24(水)の東京市場の下落はさらに、欧州を中心に新型コロナウイルスの感染が再拡大し始めたことで、景気回復期待に冷や水が浴びせられ、投資家のリスク許容度が低下したことが要因と説明されています。
株式市場で語られる相場コメントについては、時折違和感の強いものもあります。今回、相場下落の要因として考えられる新型コロナウイルスの感染再拡大については、
(1)そもそも、これまで感染が急拡大する局面でも株価は上昇しており、感染の勢いと株価に明確な相関性はないこと。
(2)欧州で変異ウイルスを中心に新型コロナウイルスが拡大し始めていることは、別に新しいニュースではないこと。
等から、割り引いて考える必要がありそうです。米長期金利の問題も含め、欧米株の下落率の方が東京市場より大きくなってもよさそうですが、実際に下落が大きくなっているのは東京市場の方であり、その理由を考えることも重要であると考えられます。
2014年以降、3月の日経平均株価は(1)2月末~SQ算出日、と(2)SQ算出日~3月末の値動きについて、(1)と(2)の方向感が異なるケースが7回中6回と多くなっています。すなわち、(1)が上昇している年の(2)の時期は下がりやすい傾向があるため、この3月は下がりやすいパターンと言えそうです。また、3月末を基準とする年度ベースの日経平均株価騰落率を見た場合、仮にこの3月末に28,500円で終わった場合でも、2021/3に終わる年度は、2020/3末の19,498円に対し、約50%の上昇率と近年では最高のパフォーマンスになりそうです。大幅上昇で終わりそうな年度の3月のSQ算出日後ということで、利益確定売りが増えやすいかもしれません。
過度の懸念は不要と考えられます。株式市場は世界的に、“金融相場”から“業績相場”への過渡期にあるとの見方に変わりはありません。3/22(月)付の「マーケットフラッシュ」でご説明したように、日経平均株価の下値メドとしましては、
(A)3月下旬から4月中旬頃の日経平均株価「一目均衡表」のクモの下限に近い28,500円前後
(B)日経平均株価の目先の安値(3/5安値)28,308円
(C)日経平均株価の本年終値ベースでの高値(2/16)30,467円から10%下落した27,420円前後
等が想定されます。時価は最初の下値メドに届いた水準と言えます。
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